耳鳴りのご相談で来院される方は、実はとても多くいらっしゃいます。
感じる音は様々で「キーン」「ジー」「ミーン」といった音が続き、不安やストレスで眠れなかったり、仕事に集中できなかったり、一度気になり始めると、心も体も緊張してしまう症状です。
今日は、私が日々の施術の中で感じている
「耳鳴りと鍼灸の関係」についてまとめてみます。
耳鳴りでお悩みのほとんどの方は、耳そのものには大きな異常がありません。
耳鼻科の検査で「問題なし」と言われるケースが大半です。
ではなぜ耳鳴りがするのかというと、首・肩・顎まわりの強いこり、血流の滞り、ストレスからくる自律神経の乱れ、睡眠の質の低下など。
これらが重なり、
脳が「音を強く感じる状態」になっていることが多いからです。
身体が変われば耳鳴りの「感じ方」も変わる、というのが大きなポイントです。
私の施術経験上で、耳鳴りは大きく2つのパターンに分かれます。
① 音が軽くなり、消失するタイプ
首肩の緊張や血流が改善され、自律神経が整うと
耳鳴りそのものが小さくなり、消える方もいます。
② 音は残るが、気にならなくなるタイプ(順応型)
耳鳴りの専門医でも、実はこのケースが多いとされています。
音はゼロにならなくても、脳が「気にしないモード」に戻ることで日常生活で困らなくなります。
順応は改善です。
人間の体は、本来この力を持っています。

耳鳴りは「耳だけ」の問題ではないため、全身を整える鍼灸と非常に相性が良い症状です。
● 自律神経の調整
ストレスや不安による交感神経の高まりを鎮め、落ち着いた状態を作ります。
● 首・肩・側頭部の筋緊張の緩和
耳に関係する筋肉のこりをゆるめることで、血流が改善し、耳周囲の負担も軽くなります。
● 脳の過敏性を下げる
「音を必要以上に強く感じる状態」を落ち着かせ、順応しやすい脳の環境に戻します。
● 睡眠改善・不安の軽減
施術後に「よく眠れた」という声も多く、この部分は耳鳴りの改善に直結します。
鍼灸は耳鳴りの「スイッチ」を直接押すのではなく、身体そのものが正常に戻っていく力を引き出す治療です。
■ 不安が強いほど、耳鳴りは悪化しやすい
耳鳴りで一番つらいのは、音そのものよりも「この音は大丈夫なのか」という不安です。
不安 → 交感神経が高まる → 音が強く聞こえる、この悪循環に入りやすくなります。
逆に言えば、
身体が整い、心が落ち着けば、耳鳴りは自然と軽くなっていくものです。
耳鳴りは“危険な音”ではありません。
ゆっくりと身体全体を整えていくことで、しっかり改善していきます。
耳鳴りは、周りに理解されにくく、ひとりで抱え込みやすい症状です。
でも、耳鳴りは「コントロールできる症状」であり「順応」できるお悩みです。
完全に消える人も気にならなくなる人も、すべて改善です。
確実にどちらかの方向に、鍼灸は変化させる力があります。